国キャリ・キャリ協ロープレ試験の評価基準「態度・展開・自己評価」を、ここですべて解説します!
2025.08.09投稿
「国キャリ試験で、一番の壁ってやっぱりロープレだよな…」
もしあなたがそう感じているなら、安心してください。あなただけじゃありません。学科試験は知識をしっかり覚えればなんとかなる。でも、15分間の面談と、その後の口頭試問からなる実技試験には、独特の空気感と難しさがありますよね。「今の進め方で、本当に合ってるのかな…?」「試験官は、一体どこを見ているんだろう?」そんな不安が頭をよぎる気持ち、よくわかります。
でも、大丈夫です。キャリアコンサルティング協議会(キャリ協)のロープレ試験には、ちゃんと「評価のものさし」が公開されています。そして、そのものさしを正しく理解して、ポイントを意識しながら練習すれば、合格はグッと近づいてきます。
この記事では、キャリ協ロープレ試験の評価の3本柱である「態度」「展開」「自己評価」について、どこが評価されるのか、どう対策すればいいのか、そして多くの人がハマりがちな落とし穴まで、しっかり掘り下げて解説していきますね。
読み終える頃には、ロープレ試験に対する漠然とした不安が、「よし、これをやればいいんだ!」という具体的な作戦に変わっているはずです。
まずは基本から。試験の全体像と「これだけは外せない」合格条件
さて、具体的な対策に入る前に、まずは「敵」を知ることから始めましょうか。試験の採点方法と合格ライン、ここが戦略のキホンになります。
- 満点と合格ライン: 実技試験は、ロープレと論述を合わせて150点満点。そのうち、合計90点以上取れれば合格です。
- 「足切り」の存在: でも、本当に気をつけてほしいのが、この『足切りライン』の存在です。ロープレ試験の評価項目「態度」「展開」「自己評価」の3つは、それぞれ別々に採点されます。そして、どれか一つでも配点の40%未満だと、たとえ合計が90点を超えていても、その時点で不合格になってしまうんです。
つまり、何かが突出していてもダメで、3つの要素をバランス良くクリアすることが絶対条件。この「バランス感覚」こそ、キャリ協が「こんなキャリアコンサルタントになってほしい」と願う姿そのものなんですね。
【評価基準①】態度:すべての土台になる「この人なら話せる」という安心感
「面談がうまくいくかどうかは、ほぼ『態度』で決まります」
これは、多くの指導者の方が口を揃えて言うことです。なぜなら、相談者さんが「この人になら、安心して自分のことを話せそう」と感じてくれなければ、話は一歩も前に進まないから。「態度」の評価では、この信頼関係(ラポール)を築くための基本姿勢が、じっくりと見られています。
具体的に見られているのは、こんなところ
1. 非言語コミュニケーション:言葉以上に伝わるもの
試験官は、あなたが話す言葉だけでなく、全身からにじみ出る雰囲気やメッセージをキャッチしています。
- 視線(アイコンタクト): 相談者さんの目を見て、「あなたの話を真剣に聴いていますよ」という気持ちを伝えます。ただ、ジーっと見つめすぎると圧迫感を与えてしまうことも。ふっと力を抜くように、自然なタイミングで少しだけ視線を外すのがコツです。相談者さんが考え込んでいる時に、少し視線を落として待ってあげるのも、優しい配慮になります。
- 姿勢と座り方: 椅子に浅めに腰掛けて、ほんの少しだけ前のめりになるのが基本。「あなたの話に、すごく興味があります」という前のめりな気持ちの表れです。逆に、背もたれにふんぞり返ったり、腕組みをしたりするのは「壁を作っている」サインに見えがちなので、絶対にやめましょう。
- 相槌とうなずき: 「はい」「ええ」だけだと、だんだん単調になってしまいます。「なるほど」「そうだったんですねぇ」みたいに、少しバリエーションを持たせるのが大切です。相手の話す内容や感情の起伏に合わせて、うなずきの深さやリズムを変えるのも効果的。「あなたの気持ちの動き、ちゃんと伝わってますよ」という共感のサインになります。
2. 言葉のコミュニケーション:声で「受け止めている」ことを示す
- ペーシング: 相談者さんの話すスピードや声のトーンに、自分の話し方をそっと合わせてあげるテクニックです。相手がゆっくり話す方ならこちらも落ち着いた口調で。もし焦って早口になっているようなら、まずはその気持ちをしっかり受け止めた上で、こちらが少しだけゆっくり話すことで、安心感を促すことができます。
- 受容的な言葉づかい: 「〜するべきですよ」とか「普通は〜ですよね」といった評価するような言葉は避けたいところ。「〇〇と感じていらっしゃるんですね」「〇〇というお気持ちなんですね」という風に、相談者さんの言葉や感情を、鏡のようにそのまま返してあげる(リフレクティング)。すると相談者さんは「この人は、私の気持ちをわかってくれた」と感じて、もっと心を開いてくれるようになります。
【態度・セルフチェックリスト】
面談練習の前に、ちょっと自分をチェック!
- 基本の姿勢、できていますか?腕や足を組まず、少しだけ前のめりな感じ。
- 相談者さんに、柔らかい視線を向けているか?
- 相手の話すペースに、自分のペースを合わせようと意識しているか?
- 相槌やうなずき、単調な「うん、うん」マシンになっていないか?
- うっかり「でも」とか「だって」みたいな否定的な言葉から入っていないか?
- 相談者さんの気持ちを、そのまま言葉にして返してあげられてるか?
【評価基準②】展開相談者さんの「考える力」を引き出す技術
「態度」で安心できる土台を作ったら、次はその上で面談をうまく「展開」させていく技術が求められます。ここでのゴールは、問題を解決してあげることではありません。15分という短い時間で、相談者さん自身が「あ、そうか」と自分の問題に気づき、考えを深め、新しい視点を見つけるお手伝いをすることです。
具体的に見られているのは、こんなところ
1. 問題の把握:「本当の悩み」を一緒に探す
相談者さんが最初に話してくれる悩み(主訴)と、キャリコンとして「問題の本質はここかもしれない」と見立てるポイントは、違うことがよくあります。この「見立てる力」が、面談を展開させるカギです。
- 開かれた質問(オープン・クエスチョン): 「はい/いいえ」で終わらない質問を投げかけて、相談者さんの言葉を引き出します。「仕事が合わないと感じますか?」ではなく、「合わないと感じるのは、具体的にどんな時なんですか?」と聞いてみる。すると、より具体的なエピソードが聞けて、相談者さん自身も頭の中が整理されていきます。
- 傾聴と要約: 相手の話をじっくり聴いて、時々「つまり、〇〇ということと、△△というお気持ちがある、ということなんですね」と、こちらが受け取った内容を要約して伝えます。これによって認識のズレがなくなるし、相談者さん自身も「自分は今、こういうことで悩んでいるんだな」と客観的に状況を捉え直すことができます。
2. 自己探索のサポート:相談者さんを「自分探しの旅」へいざなう
良い面談は、相談者さんが自分自身の心の中、つまり過去の経験や、その時の感情、大切にしている価値観、好きなことといった部分に、目を向けるきっかけになります。
- 感情を問う質問: 「その時、どんな風に感じましたか?」「今、そのお話をしてみて、どんなお気持ちですか?」と感情にスポットライトを当てることで、「どうしよう」という思考レベルの悩みから一歩踏み込んで、その悩みの根本にある気持ちを探ることができます。
- 価値観を探る質問: 「お仕事をする上で、あなたが一番大切にしたいことって、何でしょう?」「どんな時に、『やってて良かったな』って充実感を感じますか?」こうした問いかけは、相談者さんが自分のキャリアの「軸」になる価値観に気づくための、大きなヒントになります。
3. 新しい視点のプレゼント:気づきを促す「鏡」になる
キャリコンは、答えを教える人ではありません。でも、相談者さんが一人では見えなかった景色や可能性を映し出す「鏡」のような役割ができます。
- リフレーミング: 物事の枠組み(フレーム)を変えてあげる働きかけです。例えば、相談者さんが「失敗ばかりで、自分の強みなんて何もありません」と言ったとします。それに対して、「色々なことに挑戦されてきたからこそ、失敗という貴重な経験もできたんですね。その挑戦するエネルギーは、どこから来るんでしょう?」と返してみる。すると、「失敗」というネガティブな言葉が、「挑戦力」というポジティブな資源として見えてくるかもしれません。
【展開・こんな落とし穴に気をつけて!】
- 質問マシーンになる: 焦って質問ばかり投げかけて、まるで尋問のようになってしまうパターン。沈黙は気まずいかもしれませんが、相談者さんが考えるための大切な「間」です。恐れないで。
- せっかちな問題解決: 相手の話をじっくり聴ききる前に、「じゃあ、こういうのはどうですか?」と解決策を提案してしまうこと。これはコンサルタントの自己満足。相談者さんが自分で決める力を奪ってしまいます。
- 自分の価値観を押し付ける: 「もっと頑張るべきですよ」「普通はこう考えますよね」など、自分のものさしで相手を測るのは絶対にNGです。
【評価基準③】自己評価:プロとして成長し続けるための振り返る力
ロープレが終わって、ホッと一息つく間もなく始まるのが「口頭試問」。ここでの受け答えが、「自己評価」として採点されます。試験官は、あなたが完璧な面談をしたかどうかを見たいのではありません。自分の面談を冷静に振り返り、専門家として「どこが良くて、どこが課題で、次どうするか」を考えられるか、その「自分を客観視する力」を評価しています。
口頭試問で、ほぼ必ず聞かれる3つの質問
1. 「できた点(良かった点)は何ですか?」 「傾聴ができました」だけだと、ちょっと物足りない。「相談者の『〇〇』という言葉に対して、『△△』という形で気持ちをお返ししたところ、表情が和らいで、より具体的なお話をしてくださった点が良かったと思います」というように、「どの場面で」「自分がどう働きかけ」「その結果どうなったか」をセットで答えられると、ぐっと説得力が増します。
2. 「できなかった点(改善点)は何ですか?」 ここが一番の腕の見せ所です。できなかったことを正直に、でもプロとして分析できるかが問われます。「時間が足りませんでした」は、ただの言い訳に聞こえてしまいがち。「相談者の『仕事が合わない』という主訴の裏にある、価値観を明確にするところまで踏み込めなかったのが課題です。そのために、本来であれば『〇〇』といった問いかけをしてみるべきでした」というように、課題の特定+具体的な改善策まで言えると、評価はグンと上がります。
3. 「この後、面談をどのように進めていきますか?」 今後の支援プランを具体的に話して、「行き当たりばったりじゃないですよ」とアピールします。「まずは、今回の面談でご本人も気づかれた『自己理解を深める必要性』という点を共有し、合意を取ります。その上で、次回は興味検査のようなツールも使いながら、客観的な視点も交えて、ご自身の興味や価値観を一緒に探っていくご提案をしたいと思います」のように、目標設定 → 具体的なやり方、という流れで話せるとベストです。
【自己評価・対策のコツ】
ロープレ練習をするときは、必ずスマホなどで録音・録画して、終わった後にこの3つの質問に自分で答える練習をしてみてください。自分の面談を客観的に見るクセをつけることが、最高の対策になりますよ。
まとめ:3つの評価基準は、すべて繋がっている
ここまで「態度」「展開」「自己評価」と3つに分けて解説してきましたが、これらはバラバラではありません。
- 受容的な「態度」があるから、相談者さんは安心して心を開き、面談の「展開」が生まれる。
- 相談者さんの内面を掘り下げる「展開」ができたからこそ、口頭試問での「自己評価」(問題の見立てや今後の計画)に深みが出る。
- そして、的確な「自己評価」ができるから、次の面談で、もっと良い「態度」や「展開」ができるようになる。
この3つの歯車がカチッと噛み合った時、あなたのロープレは、試験対策というレベルを超えて、本当に相談者さんのためになるキャリアコンサルティングへと変わっていくはずです。
試験本番は、誰だって緊張します。完璧な面談なんて目指さなくて大丈夫。大切なのは、目の前の相談者さんに真摯に向き合う「態度」を示し、相談者さん自身の力を信じて「展開」をサポートし、たとえ上手くいかなくてもそれを次への糧にする「自己評価」の視点を持つことです。
この3つのコンパスを胸に、自信を持って本番に臨んでください。あなたのこれまでの頑張りが、最高の結果に繋がることを心から応援しています!
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