【ロープレひとことアドバイス】「気持ちを拾う」の意味
2024.04.09更新
ロープレにキャリコン資格者が指導者やオブザーバーに来ている時、ロープレのフィードバックで「もっとクライエントの気持ちを拾ってあげないとだめだよ」「途中の相談者の~の気持ちの発言を拾ってなかったよね」というようなアドバイスを受けたことがあると思います。
そのアドバイス自体はおかしくはないのですが、何で気持ちの言葉を拾うかまで教えてくれないと中途半端だな、と考えています。
ロープレの練習の中で、やたらと気持ちの言葉に敏感で、何でも拾って全然カウンセリングが先に進まない方が実際にいました。相談者役が感情表現過多で気持ちの発言が多い場合、さほど重要でない気持ちの言葉まで全部拾っていたら時間がいくらあっても足りません。
その方に話を聴くと「ロープレを始めたころ、いつも気持ちの言葉を拾えと指導されていたので、一生懸命気持ちのことばを拾うようにしたら、話しがつながるようになったので自分のパターンになった」とのことでした。普段ロープレをやっているグループでのロープレでは特に問題を感じなかったそうです。
気持ちを拾うという対応をする意味は次のような意味があると考えています。
➀気持ちに寄り添うことで、相談者との間にラポール形成が進めやすい。
②事象についてのやりとりをしてしまうと話が深まらないので、積極的に気持ちを聴く。
③気持ちを聴くことで、その気持ちになった理由・背景を自然な形で聴くことができ、相談者の認知の歪みを見つけることができる。
気持ちに寄り添うという対応は、ラポール形成の努力を分かりやすく試験官に示すことができます。反対に気持ちに全然寄り添っていないとキャリコンとしては適切でない対応といえます。
事象についてのやり取りはキャリアコンサルティングという観点では表面をなぞるだけで、相談者の心の奥に持った考えや思いに近づくことができず、遠回りだといえます。
思い込み、決めつけのような認知の歪みは相談者の気持ちの中で現れます。そこに近づくきっかけになるのが気持ちの発言です。
ただ、注意しなければならないのは、「ちょっと思っただけ」、「今思った」というような相談者の核心につながらない気持はスルーが原則ということです。そこを見分けるためにも相談者の話をしっかり聴くことが重要です。
この記事は2023年12月28日発行のメルマガ59号に開催したものを転載したものです。
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