キャリアコンサルタントとは?すべてを分かりやすく説明します
2024.04.23更新
キャリアコンサルタントの種類、日本での歴史、試験と今後の展開について全て説明します
キャリアコンサルタントとその種類
キャリアコンサルタント資格について
「キャリアコンサルタント」は、学生・求職者・在職者等を対象に職業選択や能力開発に関する相談・助言を行う専門家です。2016年4月に改正された「職業能力開発促進法」でキャリアコンサルタントが規定され、国家資格となっています。
※「職業能力開発促進法」はこちらで確認できます(
保育士・FPなどと同じ「名称独占資格」の為、この資格を持っていないと「キャリアコンサルタント」又は、これに類似した紛らわしい名称を用いることができません。
「第三十条の二十八 キャリアコンサルタントでない者は、キャリアコンサルタント又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。」
弁護士や司法書士のように「業務独占資格」の場合、資格を保持していないと業務自体をできないのに対し、名称独占資格の場合、資格を持っていなくても業務ができます。その為、現状は資格を保持していない方が学生・求職者・在職者等を対象に職業選択や能力開発に関する相談・助言を行っているケースが多々あります。
キャリアコンサルタント資格の種類について
キャリアコンサルタントの資格は国家資格としての「キャリアコンサルタント」ですが、制度上「キャリアコンサルティング技能士」という国家検定があり、上級資格との位置づけになります。キャリアコンサルティング技能士には1級と2級の2段階があり、2級が「熟練レベル」、1級が「指導者レベル」という扱いになっています。
ただ、国家資格としては「キャリアコンサルタント」だけであり、1級・2級の技能士は検定に合格しただけでは資格を取得したことにはなりません。あくまでも「キャリアコンサルタント2級」ではなく「キャリアコンサルティング技能士2級」検定合格者なのです。もちろん技能士試験合格者には国家資格「キャリアコンサルタント」に登録できる権利が与えられますので、実際に「キャリアコンサルタント」を名乗って業務を行うのに必要なのは、既定の手数料を支払って国家資格「キャリアコンサルタント」へ登録するだけです。
日本のキャリアコンサルタントの歴史を知ろう
1993年:日本初の「キャリアカウンセラー」資格を認定
日本進路指導学会(現日本キャリア教育学会)が日本で初めて「キャリア・カウンセラー」資格を認定しました。これが日本におけるキャリア資格です。
2001年:職業能力開発促進法の改正
キャリアコンサルティングが初めて国の施策として導入されたもので、日本のキャリアコンサルティングの起点と言われています。
2002年:「標準レベルのキャリアコンサルタント」とキャリア・コンサルタント能力評価試験スタート
厚生労働省の指定団体が発行する「民間資格」として「標準レベルのキャリアコンサルタント」試験が始まりました。
具体的には、「キャリア・コンサルタント養成講座(140時間)」を受講し、「キャリア・コンサルタント能力評価試験に合格した者」等を「標準レベルのキャリア・コンサルタント」と総称していたものです。
尚、キャリア・コンサルタント能力評価試験は、キャリア形成促進助成金(訓練等支援給付金)の対象となるキャリア・コンサルタント能力評価試験として、厚生労働省職業能力開発局長が指定した試験をいい、職業訓練のカリキュラムの一部として雇用する労働者に当該試験を受けさせる事業主に対して助成金を支給していました。
2008年:国家検定「2級キャリアコンサルティング技能検定」スタート
「2級キャリアコンサルティング技能検定」と呼ばれる「熟練レベルのキャリアコンサルタント」の国家検定がスタートしました。この年に「ジョブカード」制度が主に「職業能力の形成機会に恵まれない人」に対する支援策として創設されました。
2011年:国家検定「1級キャリアコンサルティング技能検定」スタート
2級技能検定開始の3年後、「1級キャリアコンサルティング技能検定」と呼ばれる「指導レベルのキャリアコンサルタント」の国家検定がスタート。
2014年7月 厚生労働省が「キャリコン10万人育成計画」を発表
厚生労働省が、2024年までに「標準レベルの国家資格者」と「熟練レベルのキャリアコンサルティング技能士」を含め、累計10万人を養成する計画を打ち出しています。
(ご参考)キャリコン10万人育成計画
各都道府県知事あて厚生労働省職業能力開発局長通知
2015年9月 「労働派遣法」改正によりキャリアコンサルティング窓口設置義務化
「労働派遣法」が改正され、労働派遣業を行う企業は希望者に「キャリアコンサルティング」を行うための窓口を設置する義務が課されました。但し、キャリアコンサルティングを行うのは資格者である必要は無く、経験者が行うことが可能という位置づけでした。
※労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
この年にジョブ・カード制度推進会議の答申「新ジョブ・カード制度推進基本計画」において、「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」の機能に変更され、それに伴うシート類の整備が行われました。
出典:新ジョブ・カード制度推進基本計画概要(PDF:145KB)
2016年4月:「職業能力開発促進法」改正 国家資格「キャリアコンサルタント」誕生
2016年4月の「職業能力開発促進法」の改正により、これまで「民間資格」だった「標準レベルのキャリアコンサルタント」が「国家資格」に格上げされました。これにより、平成28年4月以降「キャリアコンサルタント」は、全て国家資格となり、有資格者だけが名のれる「独占名称」となりました。
2022年4月 「職業能力開発促進法」を改正。
企業内におけるキャリアコンサルティング機会の確保を明確化
[多様な職業能力開発の機会の確保]
第十条の三 事業主は、前三条の措置によるほか、必要に応じ、次に掲げる措置を講ずることにより、その雇用する労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力の開発及び向上を促進するものとする。
一 労働者が自ら職業能力の開発及び向上に関する目標を定めることを容易にするために、業務の遂行に必要な技能及びこれに関する知識の内容及び程度その他の事項に関し、情報を提供すること、職業能力の開発及び向上の促進に係る各段階において、並びに労働者の求めに応じてキャリアコンサルティングの機会を確保することその他の援助を行うこと。
二 労働者が実務の経験を通じて自ら職業能力の開発及び向上を図ることができるようにするために、労働者の配置その他の雇用管理について配慮すること。
2 事業主は、前項第一号の規定によりキャリアコンサルティングの機会を確保する場合には、キャリアコンサルタントを有効に活用するように配慮するものとする。
注)蛍光部が今回の改正で変更になったところです。
出典:「職業能力開発促進法」
2022年6月 「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」
経営者、現場リーダー、キャリアコンサルタントの役割の明確化
出典:(厚生労働省)『職場における学び・学び直し促進ガイドライン』
2023年6月 政府が専門技能獲得で33万人の転職を目指す政府の新制度導入を発表
政府が専門技能獲得に最大1年間の民間教育プログラムと平均24万円の補助金を支給する新制度導入を発表し、
この制度では、希望者がキャリアコンサルタントの国家資格を持つ専門家に意見を聞き、転職に必要となるスキルや転職活動のサポートを受けることができるとしているが、実際には補助金支給要件が教育訓練給付金、人材開発支援助成金等と同様にキャリアコンサルタントによるコンサルティングとジョブカード提出が必要となるとされています。
キャリアコンサルタントの今後について
人生100年時代で変わる労働市場
自分の人生が100年になったとイメージしてください。それは働いている時間と老後の時間がほぼ同じになることを意味しています。そうすると私たちの環境は大きく変わります。65歳で引退して楽隠居などと考えていたら老後資金が足りなくなります。
また、その長い老後の時間に何をするかが問題です。老後が10年くらいだったら、好きなゴルフをやったり、夫婦で海外旅行を楽しんだり、ボランティアをしたりで、孫と遊んだりでどうとでも過ごせます。ところが老後が30年間となったらどうしますか?何もすることが無い、年金受給者という形しか世の中に立場が無いということはけっこう厳しいです。
そのような背景で、実際には現在の主流である65歳で再雇用を終わらせて退社する、という生き方に満足せず、70歳・75歳まで働きたいという中高年が増加しています。ところが現状では企業は高齢者に対しては間口が狭く、高齢者の再就職はタクシー運転手、マンション管理のような一部の業種に偏っています。今高齢者の起業が増加傾向にあるのはそのためです。
国家資格キャリアコンサルタントの今後の見通し
このように労働市場が大きく変革している中、現在起こっているのは猛烈な人手不足です。それは単に少子化の影響というだけではなく、企業の中高年・シニア離れもその要因として挙げられます。これまでの労働力の主力であった層を一気に戦力外にしたのですから、人手不足になるのは当然です。
一方企業の中高年・シニア層にもこれまで終身雇用で同一の企業でしか働いておらず、違う仕事環境への変化に耐えられない層、そもそも転職のための戦力が無い(準備されていない)層等、外される理由があります。
私たちはそれらのミスマッチを調整するためには会社と中高年・シニアとの両方に適切なアドバイスやサポートを行う必要が出てくると予測しています。そしてその主力を担うのが資格者としてのキャリアコンサルタントと考えております。今は流動化がそれほどでもないのと、シニア層が再雇用により大幅な待遇悪化を甘んじて受けていることから大きな影響が出ていないので、キャリアコンサルタントの需要が急増しているイメージはありませんが、今後、確実に増えてくると考えています。
キャリアコンサルタントになるためには?
国家資格のキャリアコンサルタントになるためには、キャリアコンサルタント試験を受験しなければならないのですが、その受験資格を得るために2つのルートがあります。
キャリアコンサルタント試験の受験資格
第①ルート キャリアコンサルタント養成講座(講習)修了で受験資格を得る
一つは厚生労働省のプロジェクトである「キャリアコンサルタント養成講座(講習)」を受講し、修了することで受験資格を得るルートです。この場合、受験申し込みの際に養成講座実施機関の発行する「修了証明書」を添付することになります。
キャリアコンサルタント養成講座は30万円~50万円と高額の講座ですが、教育訓練給付金の対象になっているので、講座を修了すると50%、その後に資格試験に合格すると20%の合計70%を給付金として受け取ることができます。そうすると実質負担分は9万円~15万円ということになります。
この養成講座は国の教育訓練給付金の対象になっており、養成講座講習費の最大7割が教育訓練給付金として返ってきますので、多くの受験生がこのルートで受験資格を獲得しています。
※以下のサイトで厚生労働大臣が認定するキャリアコンサルタントに係る講習の検索ができます。
キャリアコンサルタント講習検索サイト
↑「検索項目」の「講習区分(養・知・技)」から「養成」を選択すると国家資格キャリアコンサルタント試験の受験要件を満たす講習を検索できます。
第②ルート 3年以上相談実務経験者として受験資格を得る
もう一つが『労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の 経験を有する方』という受験資格の規定への該当者として受験申し込みの際に「実務試験証明書」を添付します。
「実務試験証明書」はジョブカード準拠の職務経歴書であり、受験申込者が記入します。シート内に受験者が3年以上実務経験があることを証明する①会社名②部署名③証明者④連絡先を記入すればよく、会社の上司に「○○さんの名前を承認者として登録します」と了解を得て申し込むことができます。(会社の確認印等は必要ありません)
該当の相談実務の中には「職業生活設計又は職業能力開発及び向上」という項目がありますので、管理職による部下の育成指導も対象に入ってきます。もちろんしっかりと面接を行って育成指導を行っている場合です。業務上の査定のための面接や上記の趣旨に合わないものは相談実務とはみなされません。
キャリアコンサルタント試験について詳しく知ろう
国家資格「キャリアコンサルタント」資格試験は年に3回(3月・7月・11月)実施されます。先に見てきたように国がジョブカード支援業務を中心に「キャリコンでなければしてはならない業務」を増やしてきていることもあり、受験者は増加しています。
学科試験と実技試験の受験者数の推移
キャリアコンサルタント試験の試験内容
キャリアコンサルタント試験は四択マークシート方式の「学科試験」と「実技試験」で構成されています。下図のように実技試験はキャリアコンサルティング面談の内容をキャリコンがまとめた事例記録を読んで問いに答えていく記述式の「論述試験」とキャリアコンサルティング初回面談の最初の15分をロールプレイで行い、その結果を口頭試問で確認する「面接試験」で構成されています。
①試験日は2日間行われます
【1日目】午前:学科試験 午後:論述試験
【2日目】1日目の翌週以降の土日で4日間設定され面接試験が行われます。
申し込みの際に希望日を申請します。ただ、必ずしも希望通りでないケースもあるので、
受験票が来るまでどの日になるかわかりません。
②配点及び合格ライン
学科試験 100点 合格ライン70点
実技試験 150点(論述試験:50点、面接試験:100点) 合格ライン90点
※ただし、論述は配点の40%以上の得点、かつ面接は3つの評価区分ごとに満点の40%以上の得点が必要。その為論述も面接も、また面接のどの評価項目もある程度偏りなく点数を獲得する必要があります。
<面接の評価区分>
キャリアコンサルティング協議会
(1)態度 (2)展開 (3)自己評価
JCDA
(1)主訴・問題の把握 (2)具体的展開 (3)傾聴
キャリアコンサルタント試験の難易度
出所:キャリアコンサルタント試験結果の概要
(厚生労働省「キャリアコンサルタントになりたい方へ」から)
この合格率を他の国家資格と比較するとかなり合格率は高いと言えます。合格率だけみて比較しキャリコンと同等もしくは合格率が高い資格はFP3級、介護福祉士くらいで、他の資格は一桁合格率から高くても40%くらいです。
【他の有名な国家資格の合格率】
<司法系>司法書士 3.5% 司法試験 30% 行政書士 11.5%
<経営系>中小企業診断士(1次試験・2次試験) 4%
<不動者系>マンション管理士 8.5% 宅建 16%
<FP>FP1級 13% FP2級 40% FP3級 60%※
<福祉系>社会福祉労労務士 5% 社会福祉士 27% 介護福祉士 70%※
学科試験も実技試験も実務経験者が苦労している実態
次に切り口を変えて、試験の資格区分による結果を見てみましょう。先に説明しましたようにキャリコン試験の受験者区分は①養成講座修了者②3年以上相談実務経験者の2種類があります。
各回の試験結果では受験資格別の合格者数が出されていますので、直近の第22回、23回の結果をまとめたのが下表です。
【学科試験】
学科試験は実務経験者は養成講習修了者に対し10~15ポイント合格率が下回っています。その実績は実務経験者が独学で受験をする場合カリキュラム全体をひと通り学習する養成講習修了者に対しハンディキャップがあると言えます。
独学の場合、実施団体のホームページに掲載されている3年間の過去問と市販の過去問ベースの問題集が中心になります。その為に各科目を体系的に理解することが難しく、新しい出題に対する応用力が不足になるためとされています。
【学科試験の独学の参考記事】
キャリアコンサルタント資格を独学で取得するための学科試験対策学習法と学習時間
【実技試験】
実技試験については本来は実際にキャリア面談の経験者である実務経験者が養成講習修了者に対し一般的には有利であると考えられますが、実際には学科試験同様に養成講習修了者に対し10~15ポイント合格率が下回っています。実際に指導している立場から見るとそのスキルと試験の合格基準のミスマッチの要因が一番大きいものと予想しています。
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