◇【ロープレひとことアドバイス】キャリコン発言・質問の意図が大事

ロープレカウンセリングを行っている際に、私は「途中で~と質問されましたが、それはどのような意図で行ったのですか?」という質問をよく行います。たいていの場合は「そうですね、何となく訊いてしまいました。特に意図は有りませんでした」というような回答が返ってきます

相談者の発言の最後の部分を拾って、聞き返しているような事例がそれにあたります。たとえば相談者がこんな発言を行ったとしましょう。それなりに話が進んだ後です。

「最近の技術の進歩が急速過ぎて、どんどん自分の知見や技術が時代遅れになっているような感じがしています。追いつこうとセミナーに通ったり、論文を読んだり、いろいろ努力はしているんですがね、でも、若い時のように頭に入ってこないです。」

これに対しキャリコンが「そうなんですね、若い時のように頭に入ってこないんですね」と返したらどうでしょうか?実は結構ありがちな受け答えです。

このキャリコンの発言は相談者の「若い時のように頭に入ってこないです」の部分を受けて機械的に返したものです。相手に共感しラポールを形成・維持する効果があるかも?と考える方もいるかと思いますが、実際のところは、相談者の発言した事実の確認以外の意味はなさそうに感じます。

相談者の発言を振り返ってみると重要なことを語っています。その中には、いくら努力しても、世の中の技術の進歩についていけない自分に対しての焦りのような気持ちが感じられます。

・そのような自分をどのように感じているのか?
・相談者以外の技術者の誰もが相談者が意識する「技術の進歩について行っている」人なのか?

キャリコン視点では、このようなことを確認したくなります。もちろん今後のやりとりの中で確認される内容と思いますが、今、このタイミングで確認してしまった方が時間の短縮につながります。そう考えると「そうなんですね、若い時のように頭に入ってこないんですね」が意味が無い受け答えであることは理解頂けると思います。

一方、試験官の視点に立って考えてみましょう。上述のようなキャリコンの受け答えが試験官にはどう映るでしょうか?おそらくは非常にスキルが低い受験者だな、と映るのではないでしょうか?

もちろん、1回このような応答事例があっただけで評価が悪くなるものでは無いと思いますが、ロープレの中に何回もあったら、このキャリコンはちゃんとしたカウンセリングは行えないんだな、と評価される可能性があります。

私はロープレを動画や音声で残し、後から確認することを推奨しています。そして、その確認の中で自分の相談者への応答に今まで述べてきたような「意図が感じられない応答」が無いかを是非確認してみてください。このような事例が多かった場合、相談者の発言の一部を機械的に返すことで話をつなげる癖があると思います。また、これからロープレを行う際には何かを発言する時にはどのような意図で発言するか?ということを意識することが重要です。