ドナルド・スーパーの「ライフ・キャリア・レインボー」
2025.08.25投稿
ライフ・キャリア・レインボー
ドナルド・スーパーと描く、あなただけの人生の物語
キャリアは「職業」だけではない
キャリア発達理論の巨匠、ドナルド・スーパーは、キャリアを生涯にわたるプロセスと捉えました。それは仕事だけでなく、家庭、学び、趣味など、人生の様々な役割(ライフ・ロール)が、時間の経過(ライフ・ステージ)と共に重なり合って描かれる、壮大な「虹」のようなものだと考えたのです。
虹の弧:5つのライフ・ステージ
成長段階
0歳〜14歳頃
キーワード:自己概念の形成
家庭や学校生活を通じて「自分とは何か」という自己概念を発達させる時期。はじめは空想(消防士になりたい等)で職業を考えますが、次第に自分の興味(ゲームが好き)や能力(絵が得意)に基づいて考えるようになります。周囲の大人との同一化が、職業的自我の基礎を築きます。
探索段階
15歳〜24歳頃
キーワード:試行と現実吟味
学校の授業、クラブ活動、アルバイトなどを通じて、様々な職業的役割を試行錯誤する時期です。暫定的にキャリアを選択し、現実に照らし合わせて吟味し(現実吟味)、最初の仕事に就くことで、自己概念を検証します。多くの選択肢と向き合う重要な転換期です。
確立段階
25歳〜44歳頃
キーワード:安定と前進
自分に適した職業分野を見つけ、そこで確固たる地位を築こうとする時期。試行錯誤を経て分野を特定し(安定化)、スキルアップや昇進を通じてキャリアを前進させます。仕事と同時に、家庭人や親といった新たな役割とのバランスが課題となることも多いです。
維持段階
45歳〜64歳頃
キーワード:保持と更新
築き上げた職業的地位や専門性を維持する段階。現状維持だけでなく、技術革新や環境変化に対応するための知識・スキルの更新(アップデート)が求められます。後進の育成や、長年の経験を活かした新たな貢献(イノベーション)も重要なテーマとなります。
解放段階
65歳以降
キーワード:引退と再焦点化
仕事のペースを落とし(減速)、やがては職業人としての役割から引退する段階。労働者としての役割から解放され、これまで十分に時間を割けなかった他の役割(余暇人、市民など)に人生の焦点を移し、新たな生きがいを見つける時期です。
虹の色彩:9つのライフ・ロール
子ども
親との関係における役割。人生で最初に経験し、生涯続く役割です。依存から自立、そして親のケアへと関係性は変化します。
学生
学ぶ人としての役割。学校教育に始まり、キャリアのための専門知識習得、趣味の学習など、生涯にわたり断続的に発生します。
労働者
対価を得て商品やサービスを生み出す役割。多くの人にとってキャリアの中核をなし、自己実現や経済的基盤に直結します。
配偶者
パートナーとの関係を維持・発展させる役割。情緒的な支え合いや共同生活の運営など、多くの時間とエネルギーを要します。
家庭人
家庭環境の維持・管理を担う役割。掃除、洗濯、料理、家計管理など、快適な家庭生活を支える責任を負います。
親
子どもを養育し、社会の一員として育てる役割。子どもの成長段階に応じて、身体的・精神的なサポートを提供します。
市民
地域社会や国の一員として、社会貢献活動(ボランティア、自治会活動など)に参加する役割。無償の活動が中心です。
余暇人
趣味、娯楽、スポーツ、休息など、自己の裁量で時間を楽しむ役割。心身のリフレッシュや自己表現のために不可欠です。
年金受給者
退職後、年金や貯蓄によって生計を立てる役割。労働者からの移行であり、解放段階で中心的な経済的役割となります。
キャリアは「自己概念」の表現
「キャリアを選択し、それに従事することは、自己概念を実現しようとする試みである」
– ドナルド・スーパー
「自分はどんな人間か」というイメージを、仕事や人生の役割を通じて表現することが、キャリアを発達させる原動力になります。キャリアに悩むとき、それは「本当の自分」と「現在の役割」のズレを教えてくれるサインかもしれません。
あなたの虹を描いてみよう
あなたの人生というキャンバスに、あなただけの色で、壮大な虹を描いていきましょう。
問いかけてみましょう:
- あなたは今、どのライフ・ステージにいますか?
- 現在、どのライフ・ロールに最も時間とエネルギーを注いでいますか?
- 5年後、10年後、あなたの虹はどんな形や色になっているでしょうか?
- あなたが大切にしたい「自己概念」とは何ですか?